月刊経理ウーマン オススメ記事のご紹介
最新号ではこんな内容が掲載されています。
■2024年10月号(9/20発行)
特別企画/来年4月から65歳までの雇用確保が義務化される!!
人件費の増加 組織の高齢化にどう対応する?
特別企画/来年4月から65歳までの雇用確保が義務化される!!
人件費の増加 組織の高齢化にどう対応する?
「定年延長」─中小企業の緊急対策マニュアル
●「中古資産」の減価償却の仕方が分かるQ&A
●やってはいけない!! 「銀行付き合い」─7つのタブー
●AI時代に生き残るための「経理スキル」の磨き方
●親事業者・下請事業者が知っておきたい「下請法」の必備知識
●お疲れ女子におススメの「ハンディマッサージャー」図鑑
●有名人が語る「わたしの金銭哲学」(木佐彩子さん)
●やってはいけない!! 「銀行付き合い」─7つのタブー
●AI時代に生き残るための「経理スキル」の磨き方
●親事業者・下請事業者が知っておきたい「下請法」の必備知識
●お疲れ女子におススメの「ハンディマッサージャー」図鑑
●有名人が語る「わたしの金銭哲学」(木佐彩子さん)
今月号の記事
経理ウーマン10月号/
特集企画/来年4月から65歳までの雇用確保が義務化される!!
人件費の増加 組織の高齢化にどう対応する?
人件費の増加 組織の高齢化にどう対応する?
「定年延長」─中小企業の緊急対策マニュアル
特定社会保険労務士 本田和盛
LESSON1 来年4月からの「65歳までの雇用確保の義務化」とはこんな内容です
多くの会社では定年など従業員の雇用上限年齢を定めています。この雇用上限年齢に関して来年4月に大きな改正が行なわれます。具体的には、2025年3月に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の経過措置が終了し、「65歳までの雇用確保措置」(以下、高年齢者雇用確保措置)が4月から完全義務化されます。
読者の中には、いよいよこれで我が国も「65歳定年制」が法的義務になるのかと思われた方もいると思います。また「65歳までの雇用確保はこれまでも義務だったのではないの?」「当社では社員は65歳まで普通に働いているので、65歳ではなく70歳までの雇用確保の間違いでは?」と首を傾げた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、これまでも高年齢者雇用確保措置は法的義務でした。つまり希望者全員を65歳まで雇用することが建前上は義務となっていました。しかしその法的義務には抜け穴があって、一部の社員を雇用確保措置の対象から除外することができていたのです。しかし来年4月からはこの抜け穴(経過措置という)が実質的に無くなり、希望者全員を対象にした制度へと完全移行(完全義務化)することとなります。
また多くの方が誤解していますが、高年齢者雇用確保措置の完全義務化と「65歳定年制」はイコールではありません。定年は今までどおり60歳のままでもなんら問題はありません。何らかの形で希望する全社員を65歳まで雇用すればよいだけです。
LESSON1では、来年4月の高年齢者雇用確保措置の完全義務化を前に、これまでの高年齢者を対象とした雇用制度の流れを振り返りながら、今回の高年齢者雇用確保措置の義務化の背景や、現下の高年齢者雇用の状況、高年齢者雇用の今後について見ていくことにしましょう。
完全義務化は40年前からの構想!?
最初に、高齢者と高年齢者の違いについて説明しておきます。普段私たちはこの2つの言葉を同じような意味で使っていますが、実はまったく異なります。
「高齢者」は主に医療など社会保障の領域で使われる言葉で、65歳以上の方を指す言葉です。65歳以上の高齢者のうち65~74歳を前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と呼ばれます。健康保険制度など一般の医療保険制度に入っている雇用者も、75歳になればそこから抜けて後期高齢者医療制度に入り直すことになります。
多くの会社では定年など従業員の雇用上限年齢を定めています。この雇用上限年齢に関して来年4月に大きな改正が行なわれます。具体的には、2025年3月に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の経過措置が終了し、「65歳までの雇用確保措置」(以下、高年齢者雇用確保措置)が4月から完全義務化されます。
読者の中には、いよいよこれで我が国も「65歳定年制」が法的義務になるのかと思われた方もいると思います。また「65歳までの雇用確保はこれまでも義務だったのではないの?」「当社では社員は65歳まで普通に働いているので、65歳ではなく70歳までの雇用確保の間違いでは?」と首を傾げた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、これまでも高年齢者雇用確保措置は法的義務でした。つまり希望者全員を65歳まで雇用することが建前上は義務となっていました。しかしその法的義務には抜け穴があって、一部の社員を雇用確保措置の対象から除外することができていたのです。しかし来年4月からはこの抜け穴(経過措置という)が実質的に無くなり、希望者全員を対象にした制度へと完全移行(完全義務化)することとなります。
また多くの方が誤解していますが、高年齢者雇用確保措置の完全義務化と「65歳定年制」はイコールではありません。定年は今までどおり60歳のままでもなんら問題はありません。何らかの形で希望する全社員を65歳まで雇用すればよいだけです。
LESSON1では、来年4月の高年齢者雇用確保措置の完全義務化を前に、これまでの高年齢者を対象とした雇用制度の流れを振り返りながら、今回の高年齢者雇用確保措置の義務化の背景や、現下の高年齢者雇用の状況、高年齢者雇用の今後について見ていくことにしましょう。
完全義務化は40年前からの構想!?
最初に、高齢者と高年齢者の違いについて説明しておきます。普段私たちはこの2つの言葉を同じような意味で使っていますが、実はまったく異なります。
「高齢者」は主に医療など社会保障の領域で使われる言葉で、65歳以上の方を指す言葉です。65歳以上の高齢者のうち65~74歳を前期高齢者、75歳以上は後期高齢者と呼ばれます。健康保険制度など一般の医療保険制度に入っている雇用者も、75歳になればそこから抜けて後期高齢者医療制度に入り直すことになります。
(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン10月号/
耐用年数の計算方法から節税になるカラクリまで
「中古資産」の減価償却の仕方が分かる講座
税理士 鈴木まゆ子
建物や車、パソコンやコピー機など、法人が事業で使う固定資産を中古で買うことがあります。ここで注意したいのが減価償却です。
中古の場合は新品とは減価償却の考え方が異なります。知らないと税金で損をすることもあり得ます。逆に知っておくことで節税につながる場合もあります。本稿では、法人の中古資産の減価償却の特徴、カギとなる「耐用年数」の中身、注意点を解説します。
中古資産の減価償却で注意したいのは「耐用年数」
まずは法人税の減価償却限度額の計算式を復習しつつ、中古資産の耐用年数の考え方を確認しましょう。
中古の固定資産でも、税法上の減価償却限度額の計算は新品と同じです。主な減価償却の方法は「定額法」「定率法」ですが、平成19年4月1日以降の取得分の計算式は、それぞれ次ページ図表1のようになっています。期中に取得した場合は、月数按分が必要です。また、取得価額は資産の購入額だけでなく、据付費用などの付随費用も加えたものとなります。
ただし、中古資産の減価償却計算は新品のそれと同じでも、用いる償却率は新品と同じとは限りません。なぜなら、償却率を決める要素である耐用年数は、中古資産の取得時の状況によって変わるからです(次ページ図表2)。
新品の固定資産は「一度も使われたことがなく、劣化していない」という共通点があります。そのため、資産の種類と細目(資産の使用目的)が分かれば、一律で使用可能期間を表す耐用年数が決まります。
実際、会計ソフトではこの2つさえ入力すれば自動的に法定耐用年数が決まり、償却率が表示されます。資産の取得時の状況を個別に考える必要はありません。
中古の場合は新品とは減価償却の考え方が異なります。知らないと税金で損をすることもあり得ます。逆に知っておくことで節税につながる場合もあります。本稿では、法人の中古資産の減価償却の特徴、カギとなる「耐用年数」の中身、注意点を解説します。
中古資産の減価償却で注意したいのは「耐用年数」
まずは法人税の減価償却限度額の計算式を復習しつつ、中古資産の耐用年数の考え方を確認しましょう。
中古の固定資産でも、税法上の減価償却限度額の計算は新品と同じです。主な減価償却の方法は「定額法」「定率法」ですが、平成19年4月1日以降の取得分の計算式は、それぞれ次ページ図表1のようになっています。期中に取得した場合は、月数按分が必要です。また、取得価額は資産の購入額だけでなく、据付費用などの付随費用も加えたものとなります。
ただし、中古資産の減価償却計算は新品のそれと同じでも、用いる償却率は新品と同じとは限りません。なぜなら、償却率を決める要素である耐用年数は、中古資産の取得時の状況によって変わるからです(次ページ図表2)。
新品の固定資産は「一度も使われたことがなく、劣化していない」という共通点があります。そのため、資産の種類と細目(資産の使用目的)が分かれば、一律で使用可能期間を表す耐用年数が決まります。
実際、会計ソフトではこの2つさえ入力すれば自動的に法定耐用年数が決まり、償却率が表示されます。資産の取得時の状況を個別に考える必要はありません。
(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン10月号/
将来を見据えて今身に付けるべき資質はこれだ!!
AI時代に生き残るための「経理スキル」の磨き方
ユナイテッド・パートナーズ会計事務所
パートナー・税理士 森田貴子
パートナー・税理士 森田貴子
AIの進化で"先生"と呼ばれる職業は稼げなくなる。私たち税理士の業界にもそのような声が聞こえてきます。テクノロジーの進化により、AI(人工知能)やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)がバックオフィスでの仕事を大きく変えつつあります。この変化はどのように進んでいくのでしょうか?
はじめまして、森田貴子と申します。税理士として29年、会計事務所を立ち上げて21年目になります。「月刊経理WОMAN」でみなさんにメッセージさせていただくのは15年ぶりとなります。2007年には「税務手続きの電子化」、2008年には「経理のプロ養成講座」について書かせていただきました。当時と現在を振り返っても、経理の重要性に対する私の考えは変わりません。
経理はどの会社にも必ず存在します。欠かせない存在で、会社が変わってもスキルが積み上がる仕事です。女性のライフスタイルの変化にも対応しやすく、経営をサポートすることを通じて社会に貢献できる誇り高い職業です。決して華やかさはないかもしれませんが、コツコツと続けられる素晴らしい仕事です。
しかし、スコアキーパーとしての役割は減少していく可能性があります。そのため、環境の変化に対応し、意思決定に必要な情報を作成する時間を確保する工夫や継続する学びが重要です。本稿の最後には、その具体的な方法についてもお伝えさせていただきますね。
さて、ずっと現場にいた私からバックオフィスの未来予測です。私は経理の仕事がなくなることはないと考えています。ただし、新しいテクノロジーの進化により、ちょっとした工夫が必要になることは避けられません。そして不変的に大切なこともあります。
皆さんには「不安にならなくて大丈夫!」というメッセージをお届けしたいです。経理担当者に求められるスキルやスキルを磨くための方法について、本稿でお話しさせていただきます。変化に対応しながら、安心して未来を迎えましょう。
経理を取り巻く環境は大きく変化している
30年以上前、私が税理士試験を目指していた頃、「経理や税理士の仕事は電子化が進むので、資格を取っても意味がないかもしれないよ」とアドバイスを受け、不安になったことがあります。それでも簿記の勉強を続け、資格を取得し、実務を積んできた結果、学び続けて良かったと感じています。
はじめまして、森田貴子と申します。税理士として29年、会計事務所を立ち上げて21年目になります。「月刊経理WОMAN」でみなさんにメッセージさせていただくのは15年ぶりとなります。2007年には「税務手続きの電子化」、2008年には「経理のプロ養成講座」について書かせていただきました。当時と現在を振り返っても、経理の重要性に対する私の考えは変わりません。
経理はどの会社にも必ず存在します。欠かせない存在で、会社が変わってもスキルが積み上がる仕事です。女性のライフスタイルの変化にも対応しやすく、経営をサポートすることを通じて社会に貢献できる誇り高い職業です。決して華やかさはないかもしれませんが、コツコツと続けられる素晴らしい仕事です。
しかし、スコアキーパーとしての役割は減少していく可能性があります。そのため、環境の変化に対応し、意思決定に必要な情報を作成する時間を確保する工夫や継続する学びが重要です。本稿の最後には、その具体的な方法についてもお伝えさせていただきますね。
さて、ずっと現場にいた私からバックオフィスの未来予測です。私は経理の仕事がなくなることはないと考えています。ただし、新しいテクノロジーの進化により、ちょっとした工夫が必要になることは避けられません。そして不変的に大切なこともあります。
皆さんには「不安にならなくて大丈夫!」というメッセージをお届けしたいです。経理担当者に求められるスキルやスキルを磨くための方法について、本稿でお話しさせていただきます。変化に対応しながら、安心して未来を迎えましょう。
経理を取り巻く環境は大きく変化している
30年以上前、私が税理士試験を目指していた頃、「経理や税理士の仕事は電子化が進むので、資格を取っても意味がないかもしれないよ」とアドバイスを受け、不安になったことがあります。それでも簿記の勉強を続け、資格を取得し、実務を積んできた結果、学び続けて良かったと感じています。
(詳しくは本誌をご覧ください)
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経理ウーマン9月号/
特別企画/直近の経営課題を把握して早急に手を打つ!
社長と経理が知っておきたい!!
社長と経理が知っておきたい!!
「月次決算書」の正しい読み方&活かし方
税理士法人古田土会計取締役/税理士 川名 徹
月次決算の4つのメリットとは
中小企業にとって月次決算は経営の羅針盤とも言える重要なツールです。月次決算書を毎月作成し、分析することで、経営者は会社の現状を正確に把握し、適切な意思決定を行なうことができます。
古田土会計グループでは約4000社の顧問先があり、年商5000万円~50億円の規模の中小企業の月次決算のお手伝いをしています。月次決算書を使いながら毎月数字の説明をすることで、多くの経営者、経理の方が数字に強くなり、数字で経営判断ができるようになっています。
本稿では月次決算書をどう作り、どのように活用すれば良いのかを解説していきますが、その前に「月次決算がなぜ大切なのか」についてお話ししておきましょう。
世の中には月次決算書を作らず、本決算の時にだけ数字をまとめ、慌てて税務申告をしている会社も多くあります。義務として年に1回の決算書だけ作れば誰からも文句を言われることはありませんが、それでは自社の現状を適切に把握することが難しく、感覚に頼った経営になってしまいます。月次決算を行なうことで、以下の効果を得ることができます。
1. 早い経営判断ができる
月次決算を行なうことで、期の途中でもリアルタイムに業績を捉えることができます。感覚ではなく数字で把握することによって、当月から素早く対策が打てるようになります。
本決算による決算書は、通常、決算月から約2ヵ月後に出来上がります。ですから、年に1回、ようやく決算書ができあがってから1年分の数字を確認・分析しているようでは経営という観点ではもはや手遅れです。半年や四半期に1回、数字をまとめている会社もあると思いますが、市場の変化に迅速に対応するために、中小企業であっても最低1ヵ月に1回、数字をまとめる月次決算に取り組むべきです。
古田土会計グループでは約4000社の顧問先があり、年商5000万円~50億円の規模の中小企業の月次決算のお手伝いをしています。月次決算書を使いながら毎月数字の説明をすることで、多くの経営者、経理の方が数字に強くなり、数字で経営判断ができるようになっています。
本稿では月次決算書をどう作り、どのように活用すれば良いのかを解説していきますが、その前に「月次決算がなぜ大切なのか」についてお話ししておきましょう。
世の中には月次決算書を作らず、本決算の時にだけ数字をまとめ、慌てて税務申告をしている会社も多くあります。義務として年に1回の決算書だけ作れば誰からも文句を言われることはありませんが、それでは自社の現状を適切に把握することが難しく、感覚に頼った経営になってしまいます。月次決算を行なうことで、以下の効果を得ることができます。
1. 早い経営判断ができる
月次決算を行なうことで、期の途中でもリアルタイムに業績を捉えることができます。感覚ではなく数字で把握することによって、当月から素早く対策が打てるようになります。
本決算による決算書は、通常、決算月から約2ヵ月後に出来上がります。ですから、年に1回、ようやく決算書ができあがってから1年分の数字を確認・分析しているようでは経営という観点ではもはや手遅れです。半年や四半期に1回、数字をまとめている会社もあると思いますが、市場の変化に迅速に対応するために、中小企業であっても最低1ヵ月に1回、数字をまとめる月次決算に取り組むべきです。
(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン9月号/
取得価額はどう計算する? 含み益・含み損の扱いはどうなる?
会社が保有する「上場株式」の評価方法と税務取扱い
公認会計士・税理士 大西康記
まずは有価証券の税務上の区分を知っておく
会社が保有する上場株式は有価証券ですが、まずは有価証券にはどのようなものがあるか、そして税務上どのように区分されているかについて確認しておきましょう。代表的な有価証券としては、株式(上場、非上場含む)、国債・地方債・社債等の債券があります。また他にも投資信託や新株予約権なども有価証券の範囲に入ります。
これら有価証券の税務上の区分は次ページ図表1のとおりです。
図表にもあるように、有価証券はまず「売買目的有価証券」と「売買目的外有価証券」に分類されます。「売買目的有価証券」は、会社の中のトレーディング業務を行なう専門部署が短期売買目的で取得・売買する有価証券のことです。一般の事業会社では、売買目的有価証券を扱うのは稀だと思います。
「売買目的外有価証券」は、「満期保有目的等有価証券」と「その他有価証券」に分類されます。「満期保有目的等有価証券」は償還期限の定めのある債券で満期まで保有する目的のものや子会社株式などが該当します。そして、それ以外の有価証券は「その他有価証券」に区分されます。
そしてここでもう一つ、貸借対照表の表示の話をしておきます。図表2をご覧ください。「売買目的有価証券」は短期売買となりますので、貸借対照表の「流動資産の部」に「有価証券」という科目で表示されます。
また「満期保有目的等有価証券」は、決算期末時点で償還期限が1年内にくる債券が「有価証券」、1年超の債券が「投資有価証券」、子会社株式は「関係会社株式」の科目で表示します。そして最後に「その他有価証券」は、固定資産の部に「投資有価証券」の科目で表示します。(詳しくは本誌をご覧ください)
会社が保有する上場株式は有価証券ですが、まずは有価証券にはどのようなものがあるか、そして税務上どのように区分されているかについて確認しておきましょう。代表的な有価証券としては、株式(上場、非上場含む)、国債・地方債・社債等の債券があります。また他にも投資信託や新株予約権なども有価証券の範囲に入ります。
これら有価証券の税務上の区分は次ページ図表1のとおりです。
図表にもあるように、有価証券はまず「売買目的有価証券」と「売買目的外有価証券」に分類されます。「売買目的有価証券」は、会社の中のトレーディング業務を行なう専門部署が短期売買目的で取得・売買する有価証券のことです。一般の事業会社では、売買目的有価証券を扱うのは稀だと思います。
「売買目的外有価証券」は、「満期保有目的等有価証券」と「その他有価証券」に分類されます。「満期保有目的等有価証券」は償還期限の定めのある債券で満期まで保有する目的のものや子会社株式などが該当します。そして、それ以外の有価証券は「その他有価証券」に区分されます。
そしてここでもう一つ、貸借対照表の表示の話をしておきます。図表2をご覧ください。「売買目的有価証券」は短期売買となりますので、貸借対照表の「流動資産の部」に「有価証券」という科目で表示されます。
また「満期保有目的等有価証券」は、決算期末時点で償還期限が1年内にくる債券が「有価証券」、1年超の債券が「投資有価証券」、子会社株式は「関係会社株式」の科目で表示します。そして最後に「その他有価証券」は、固定資産の部に「投資有価証券」の科目で表示します。(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン9月号/
社員旅行 懇親会 リゾート会員権…
給与課税されないためにはこうする
給与課税されないためにはこうする
会社負担のレクリエーション費用の
「税務取扱い」が分かるセミナー
税理士 鈴木裕子
ITの発展やリモートワークの定着などにより、社内で従業員同士が顔を合わせる機会が減り、コミュニケーション不足が生じていると感じることはありませんか? あるいは社内で顔は合わせていても、コロナ禍をきっかけに飲み会など社外で話す機会が減り、上司、部下や同僚とゆっくり話すことがなかなかないということもあるかもしれません。
そうした場合、従業員同士のコミュニケーションの活性化のために、社内レクリエーションが効果的です。
福利厚生の充実は、従業員の満足度向上と企業の成長に大きく貢献します。社内レクリエーションの実施により、コミュニケーションが円滑になれば、業務効率が上がり、仕事が円滑に進むなど、仕事の生産性を上げることにつながります。
また、社内レクリエーションの実施には、従業員のリフレッシュ、従業員一人ひとりのモチベーションの向上、社内の一体感の強化など、さまざまな効果が期待されます。国内や海外の慰安旅行を実施し、従業員同士で寝食を共にすると、仲良くなったり、親睦を深めたりして、業務効率アップが見込めるかもしれません。
このように社内レクリエーションにはメリットがたくさんありますが、経理担当者の立場からすると、社内レクリエーションの費用を会社が負担した場合、全額経費として認められるのかな?と気になりますよね。以下に詳しく社内レクリエーションの税務の取扱いをみていきましょう。
社内旅行の税務取扱いはこうなっています
社内レクリエーションとして慰安旅行を実施する場合、その費用の税務取扱いはどうなるのでしょう。旅行の費用を福利厚生費として経費に落とすには、注意が必要です。会社が負担した費用が、参加した従業員の給与等として課税されてしまう場合があるためです。
じつは、慰安旅行の会社負担分は、原則として給与等に該当するとされているのです。会社が従業員に与える経済的利益という扱いになるからですね。ただし、一定の要件を満たせば、参加した従業員の給与等としなくてもよいことになっており、その場合は、会社負担額を福利厚生費として経費にすることができます。
福利厚生の充実は、従業員の満足度向上と企業の成長に大きく貢献します。社内レクリエーションの実施により、コミュニケーションが円滑になれば、業務効率が上がり、仕事が円滑に進むなど、仕事の生産性を上げることにつながります。
また、社内レクリエーションの実施には、従業員のリフレッシュ、従業員一人ひとりのモチベーションの向上、社内の一体感の強化など、さまざまな効果が期待されます。国内や海外の慰安旅行を実施し、従業員同士で寝食を共にすると、仲良くなったり、親睦を深めたりして、業務効率アップが見込めるかもしれません。
このように社内レクリエーションにはメリットがたくさんありますが、経理担当者の立場からすると、社内レクリエーションの費用を会社が負担した場合、全額経費として認められるのかな?と気になりますよね。以下に詳しく社内レクリエーションの税務の取扱いをみていきましょう。
社内旅行の税務取扱いはこうなっています
社内レクリエーションとして慰安旅行を実施する場合、その費用の税務取扱いはどうなるのでしょう。旅行の費用を福利厚生費として経費に落とすには、注意が必要です。会社が負担した費用が、参加した従業員の給与等として課税されてしまう場合があるためです。
じつは、慰安旅行の会社負担分は、原則として給与等に該当するとされているのです。会社が従業員に与える経済的利益という扱いになるからですね。ただし、一定の要件を満たせば、参加した従業員の給与等としなくてもよいことになっており、その場合は、会社負担額を福利厚生費として経費にすることができます。
(詳しくは本誌をご覧ください)
前々月号の記事
経理ウーマン8月号/
特別企画/社長・上司が気づいていないだけかも…?
そのままでは業績の急落を招きかねない…⁉
そのままでは業績の急落を招きかねない…⁉
会社で起こりがちなハラスメント」徹底対策セミナー
えん社会保険労務士法人 村田 淳
パワハラは日本独自の概念?
労働の現場で「ハラスメント」という言葉が最初に出てきたのは、1970年代アメリカの「セクシャルハラスメント」であったと言われています。それから1980年代にはセクハラという言葉で日本に輸入され、男女雇用機会均等法の制定や職場におけるセクハラを問う裁判が初めて行なわれたこともあり、徐々に定着していきました。
2000年代になるとパワーハラスメントという言葉が出てきました。ちなみに、この言葉を最初に使ったのは日本のコンサルティング会社の方で、日本が発祥の和製英語となります。
英語ではAbuse of Authority(権限の濫用)が近いのですが、同意義とも言い難く、日本独自の概念かもしれません。
そして、最初のハラスメントという言葉の発祥から50年近く経過しました。しかし、未だにハラスメントに悩む人が減ることはなく、むしろ増えているように思えます。その背景には時代の変化があります。
多様な働き方の誕生、男女平等の定着、インターネットやSNSの普及。ハラスメントも知らない間に、いろいろとその種類が増えてきたように思えます。労働の現場にいる私たちは、常に新しく時代に合ったハラスメント対策を考えていかなければいけません。
ハラスメントに万能薬はありません。その現場に合った対策が求められます。本稿では、ハラスメントに対する一般的な知識から、対策を立てるときの考え方までを解説していきます。
まずは、世の中にどんなハラスメントがあるか見ていきましょう。
2000年代になるとパワーハラスメントという言葉が出てきました。ちなみに、この言葉を最初に使ったのは日本のコンサルティング会社の方で、日本が発祥の和製英語となります。
英語ではAbuse of Authority(権限の濫用)が近いのですが、同意義とも言い難く、日本独自の概念かもしれません。
そして、最初のハラスメントという言葉の発祥から50年近く経過しました。しかし、未だにハラスメントに悩む人が減ることはなく、むしろ増えているように思えます。その背景には時代の変化があります。
多様な働き方の誕生、男女平等の定着、インターネットやSNSの普及。ハラスメントも知らない間に、いろいろとその種類が増えてきたように思えます。労働の現場にいる私たちは、常に新しく時代に合ったハラスメント対策を考えていかなければいけません。
ハラスメントに万能薬はありません。その現場に合った対策が求められます。本稿では、ハラスメントに対する一般的な知識から、対策を立てるときの考え方までを解説していきます。
まずは、世の中にどんなハラスメントがあるか見ていきましょう。
セクシャルハラスメント(セクハラ)
労働現場でハラスメントという言葉が生まれた先駆けでもあり、もう細かい解説はいらないでしょう。端的に言えば、他者に対して不快な性的言動や行動を行ない、職場環境を害するものを指します。
セクハラには大きく「環境型」と「対価型」があると整理されます。
前者は職場環境における性的言動により就業環境が不快になるものです。後者は性的な言動に対する対応(拒否、抵抗)により解雇や契約更新拒否など、労働者が不利益を受けるものを言います。
労働現場でハラスメントという言葉が生まれた先駆けでもあり、もう細かい解説はいらないでしょう。端的に言えば、他者に対して不快な性的言動や行動を行ない、職場環境を害するものを指します。
セクハラには大きく「環境型」と「対価型」があると整理されます。
前者は職場環境における性的言動により就業環境が不快になるものです。後者は性的な言動に対する対応(拒否、抵抗)により解雇や契約更新拒否など、労働者が不利益を受けるものを言います。
(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン8月号/
タイミングを間違えると永久に損金算入ができなくなる?
意外と知らない「貸倒損失」の税務のツボ教えます
税理士 定岡佳代
「貸倒損失」…経理担当者の皆さんの中で、簿記を勉強したことがある方なら、一度はテキストで見たことのある勘定科目ではないでしょうか。見たことはあるけれど、実務では登場したことがない、という方も多いと思います。「貸倒損失」とはなんだか穏やかでないワードですから、「見たくない勘定科目ランキング」を付けたら上位にきそうですよね。
「貸倒れ」とは、その言葉のとおり、「貸したお金が踏み倒された(返されなくなった)」状況のことをいいます。会計用語としての「貸倒れ」は、もう少し広い意味で「債権が回収できなくなったこと」と捉えていただければよいでしょう。貸倒れの対象となるものは、その発生要因から「売上債権」と「貸付金」の大きく2つに分けられます。
売上債権(売掛金、請負未収入金、受取手形など)は、事業者が売上をあげたときに発生する債権で、売上代金を後日回収できる権利のことをいいます。販売店など、商品を渡したその場で現金を受け取れるケース以外は、いったん売上債権として資産計上します。
ただし、回収期日を過ぎても入金がなく、相手先(債務者)が倒産してしまったなど、将来的に回収することが難しいと判断できる状況になった場合には、いつまでも資産計上しておくわけにはいきません。このような状況を正しく会計に反映させるためには、適切なタイミングで売上債権を費用(損失)として処理することがのぞましいでしょう。
一方、貸付金は取引先に金銭等を貸し付けたときに発生する債権です。貸付金が期限までに返済されず、貸した相手(債務者)が倒産してしまい返済能力がなくなってしまった、という場合も、費用(損失)として処理することになります。
「貸倒れ」とは、その言葉のとおり、「貸したお金が踏み倒された(返されなくなった)」状況のことをいいます。会計用語としての「貸倒れ」は、もう少し広い意味で「債権が回収できなくなったこと」と捉えていただければよいでしょう。貸倒れの対象となるものは、その発生要因から「売上債権」と「貸付金」の大きく2つに分けられます。
売上債権(売掛金、請負未収入金、受取手形など)は、事業者が売上をあげたときに発生する債権で、売上代金を後日回収できる権利のことをいいます。販売店など、商品を渡したその場で現金を受け取れるケース以外は、いったん売上債権として資産計上します。
ただし、回収期日を過ぎても入金がなく、相手先(債務者)が倒産してしまったなど、将来的に回収することが難しいと判断できる状況になった場合には、いつまでも資産計上しておくわけにはいきません。このような状況を正しく会計に反映させるためには、適切なタイミングで売上債権を費用(損失)として処理することがのぞましいでしょう。
一方、貸付金は取引先に金銭等を貸し付けたときに発生する債権です。貸付金が期限までに返済されず、貸した相手(債務者)が倒産してしまい返済能力がなくなってしまった、という場合も、費用(損失)として処理することになります。
(詳しくは本誌をご覧ください)
経理ウーマン8月号/
登記の方法・抹消の方法から根抵当権との違いまで
「抵当権」のことがすらすら理解できる30分講座
弁護士 土井真由美
Q そもそも「抵当権」とはどういうものなのですか?
抵当権とは、不動産を担保にしてお金を借りる際に設定される権利(担保権)です。不動産を「担保に入れる」「担保に取る」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。お金を貸す側(債権者)は、不動産に抵当権を設定させることで、万が一、債務の弁済がされなくなった場合には、「担保に取った」不動産を競売にかけるなどして売却し、その売却代金から他の債権者に優先して債権を回収することができます。
このように、抵当権は、債権者にとっては、債権が回収できなくなるリスクを回避することができる権利です。なお、民法上、抵当権は、不動産の他、地上権、永小作権に対しても設定することができますが、ここでは不動産の場合に限ることにします。
Q 債務者にとって「抵当権」はメリットがあるのですか?
抵当権は、お金を借りる側(債務者)からすると、弁済が滞った場合には「不動産を競売にかけられ取り上げられてしまう」という恐ろしい権利のように感じてしまうかもしれません。たしかに、債務の弁済が滞ると、最悪の場合には不動産を手放さなければならないといったリスクがあります。
それでも、抵当権には、お金を借りる側(債務者)にとっても以下のようなメリットがあるのです。
抵当権とは、不動産を担保にしてお金を借りる際に設定される権利(担保権)です。不動産を「担保に入れる」「担保に取る」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。お金を貸す側(債権者)は、不動産に抵当権を設定させることで、万が一、債務の弁済がされなくなった場合には、「担保に取った」不動産を競売にかけるなどして売却し、その売却代金から他の債権者に優先して債権を回収することができます。
このように、抵当権は、債権者にとっては、債権が回収できなくなるリスクを回避することができる権利です。なお、民法上、抵当権は、不動産の他、地上権、永小作権に対しても設定することができますが、ここでは不動産の場合に限ることにします。
Q 債務者にとって「抵当権」はメリットがあるのですか?
抵当権は、お金を借りる側(債務者)からすると、弁済が滞った場合には「不動産を競売にかけられ取り上げられてしまう」という恐ろしい権利のように感じてしまうかもしれません。たしかに、債務の弁済が滞ると、最悪の場合には不動産を手放さなければならないといったリスクがあります。
それでも、抵当権には、お金を借りる側(債務者)にとっても以下のようなメリットがあるのです。
(詳しくは本誌をご覧ください)
「月刊経理ウーマン」
●創刊:1996年4月●体裁:A5判、縦組、116ページ ●発行日:毎月20日●年間購読料:10,865円(税・送料込)
●創刊:1996年4月●体裁:A5判、縦組、116ページ ●発行日:毎月20日●年間購読料:10,865円(税・送料込)